戸建て住宅やリフォームなどで間取りが決まり、ハウスメーカーや工務店、設計事務所から図面や仕様書、見積書などが提出されると思います。それらを1つ1つ丁寧に見てゆくと、意味不明なところが多く出てくると思います。
その中の1つがビニルクロスの仕様かなと考えます。
ビニルクロスには数多くのグレードがあり、どのグレードのものを使用するかにより価格が変わってきます。
ビニルクロスのグレードは8種類
日本国内でビニルクロスを選ぶときにハウスメーカーや工務店、設計事務所が選ぶ企業はサンゲツ、東リ、リリカラなどです。2015年現在のシェア1位はサンゲツですが、企業により大きな差はないため、気に入ったビニルクロスを選びましょう。
ビニルクロスのグレードは全部で8種類です。
SP級・・・1,000円未満/平米
AA級・・・1000円程度/平米
AB級・・・1500円程度/平米
B級・・・2000円程度/平米
C級・・・2500円程度/平米
D級・・・3500円程度/平米
S級・・・5000円程度/平米
SS級・・・5000円以上/平米
一般的な住宅に使用されるのはAA級であり、賃貸物件などで使用されるのはSP級です。表に出すとAA級は下から2番目であり、良いものではないのではないか?と思われがちですが、AA級のビニルクロスだけでも数千種類あります。
実際にショールームへ足を運ぶとわかりますが、よく使用される白色系のビニルクロスサンプルがズラッと並んでいます。その中から好みのものを選ぶだけでも大変な上、1つに決めるのに目眩がするほど悩むと思います。
AA級とそれ以上のグレードの違いは、ビニルクロスの性能、柄、素材感などです。寝室だけグレードを上げたりするのも良いかもしれません。
意外と馬鹿にできないビニルクロスの価格
AA級のビニルクロスであれば、1平米(1m×1mの大きさ)あたり1000円程度です。もう少しグレードを上げてもいいと思われる方もいますが、実際に計算してみましょう。
6畳(10平米)で天井高さが2.4mの部屋があるとします。6畳のすべての壁の面積が3.64m×2.4mが2面、2.73m×2.4mが2面で合計30平米、天井の面積が3.64m×2.73mが1面で10平米です。
合わせて40平米あります。AA級は1平米あたり1000円ですので、4万円という計算になります。
他にも部屋数はあり、トータル30万円や40万円程度ビニルクロスに予算が必要になります。グレードを上げるだけで、数万、数十万円の追加予算が必要となり、ビニルクロスに予算を充てるより他の部分に回そうとなるケースも多々あります。
今回の計算は強引にしたものであり、ハウスメーカーや工務店、設計事務所などによりビニルクロスの単価割引があったり、平米500円程度の施工単価が加わる場合もあります。
ビニルクロスのメリットとデメリット
住宅のインテリアの仕上げとして現在、多くの方が選ばれるのがビニルクロスです。以前は主流であった漆喰塗り、ペンキ塗り、ボード張りなどは少数派です。呼吸する壁として人気が出てきている珪藻土塗りもまだ少数派ながら、採用したいという方は増えてきています。
ビニルクロスがこれだけ人気の理由は、
などがあります。
また、ハウスメーカーや工務店としても・・・
などがあげられると思います。
作り手としても住まい手としてもメリットがありますので、たくさんの方に選ばれる理由になっていると思います。ビニルクロスの最大のデメリットはビニルクロス同士の継ぎ目です。
シンプルな柄のビニルクロスであれば目立ちにくいのですが、多彩な柄のビニルクロスの場合、キレイに貼るのは技術を要します。 一般的には柄のあるビニルクロスよりも布状のシンプルなビニルクロスの方がビニルクロス同士のズレや目地が目立ちにくいと言われています。
ビニルクロスは消耗品
一般的にビニルクロスの耐用年数は10年~20年ほどと言われています。それ以上に使い続けることは可能ですが、ビニルクロスの柄が色あせてきたり、目地が浮き出てきたり、ビニルクロスが剥がれてきたりする可能性が高くなってきます。
ビニルクロスの耐用年数を縮めてしまう原因は、
などがあげられます。
一番耐用年数を減らしてしまうのはタバコの喫煙で数年でヤニによって黄ばんできますし、ビニルクロス同士の継ぎ目部分にヤニがついてしまうため、ビニルクロスが浮き上がってきて見えてきてしまいます。
キッチンの油が飛ぶところは汚れ、洗面所やトイレのタオル掛けの裏などはタオルの湿気によってビニルクロスが黒カビによりかびてしまったりします。ビニルクロスを選ばれる場合は「20年経ったら貼り替えよう!」というぐらいの気持ちで採用することをオススメします。