家づくりの中で注目してしまうポイントは床で、直接肌にふれるところだけにどんなフローリングにするか考えることが多いです。忘れがちなところとしては壁があります。部屋の中に大きな面積を占める上に、日常生活の中で一番目線がいくところでもあります。
壁はビニルクロスでいいよね。と適当に考えて、現場で適当に見ていると痛い目にあうかもしれません。
壁はどうやってつくられているの?
最近作られる家の多くで壁を構成する材料は、プラスターボードと合板の2種類です。
プラスターボードは石膏を固められた板状のもので、大工さんが比較的簡単にボードをカットすることができる上、耐火性能も高いです。その反面、水分に弱く水に濡れるとボロボロと崩れていくことや、衝撃を与えるとバキッと割れます。
他にも欠点があり、プラスターボードにビスや釘といったものは効きません。釘を打つとボードに穴が開くだけですし、ドライバーでネジを入れてもボードが割れるだけです。
そのため、ホームセンターなどではプラスターボードに打つことができる3本釘のようなものが販売されていて、これを利用することで軽量な絵などをかけられるフックを壁に取り付けることができます。
合板は1mm、2mmといった薄い木を交互に並べて接着剤でくっつけた板状のもので、よくみなさんが目にしているものであると思います。
家をつくっていく上で、階段の手すり部分など、壁に何かを取り付けるところはプラスターボードではなく、その部分だけ合板を利用してつくっていきます。
壁の良し悪しは10年後にわかる
新しく完成したばかりの家は、綺麗にビニルクロスが貼られていたり、漆喰が塗られていたりするため、一目で綺麗な壁と思われると思います。ただ、1年、2年、5年、10年と経つごとに、プラスターボードや合板のビス止めが甘いために壁が動き、ビニルクロスの切れ目が目立ってきたり、漆喰の壁が割れてきたりします。
当初から大きな照明器具を取り付ける予定であった場所の下地がプラスターボードであった場合は、徐々にビスがゆるくなり、ある日突然、照明器具が落ちてくるかもしれません。
すぐにはわからないところも時間とともに問題が浮き彫りになってくるケースがあります。
壁に取り付けられているエアコンが落ちてくるかも
管理人の家の壁は、4mmや5mmといった薄い合板が2枚で構成されています。その部屋にエアコンを取り付けたところ、エアコンの取り付けをしてくれた設備屋さんの工事の様子を聞いていました。そうしたら「ビスがズボッといっちゃったよ」と笑いながら一緒に来ていた設備屋さんと話をしていました。
薄い合板の下には棒状の木の下地がありますが、チェックすることなくビス止めをした結果であると思います。聞き流してはいましたが、エアコンがいつ傾いてくるかな、落ちてくるかなと思ってもいます。
新築の現場やリフォームの現場を体験していない設備屋さんは、残念ながら建築の知識は持ち合わせていません。エアコンさえ取り付ければよいと考えていることが普通にあります。また、現場を体験している設備屋さんであっても建築のことを知らない人は普通に出会います。
感覚的には”同じ会社で「自分は営業部だから他の部のことなんて知らなくていいでしょ」”というものです。
もし、新しく家を建てる時にエアコンを取り付ける位置、階段の手すりを取り付ける位置、大きな絵を取り付ける位置など、そのような場所にはプラスターボードではなく、合板が使用されているか、また、しっかりと取り付けられているか、工事の最中にチェックしておきましょう。