柱の背割れは意味のあるもの

建て前の後の柱の状態を見てみましょう。柱が上から下まで割れていると思います。これは裂けてしまったのではなく意味があって割っています。

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柱が割れている!

最近はお客さんの信頼を得るためにハウスメーカーや工務店などで構造見学会というものを行っている会社が数多くあります。
柱や梁は建物を支える重要な部分であり、その状態を誰にでも公表するということは自信の表れと言えます。

昔の家に比べて、完成した家は柱や梁をボードで隠してしまう家も多く、素の状態の家が見られる数少ないチャンスであると思います。ここで勉強したことを自身の家づくりにも十分活かせます。

建て前後にゆっくりと家を見ていると上から下まで割れている状態の柱を見ることができます。一般的には「柱が割れてる!」、「柱が裂けてる!」と思われることが多いですが、実際にはあらかじめ割ってあるということが正解になります。この割れを「背割れ」と言います。

背割れは強い家にするための工夫

木材は乾燥した状態であるほど強い材料になる傾向があります。同じ木でもしっかりと乾燥した木を使用することで柱の強度が上がり、地震などに強い家になると考えられますが、木材の表面は乾燥していても、木材の中心部分が乾燥するまでには時間がかかります。

木材が乾燥しないままの状態で家を建ててしまうと、家が建った後に徐々に乾燥し木材が伸びたり縮んだりします。そうなることで柱がねじれたり、変なところで割れたりして十分な強度が出ない弱い家になってしまいます。柱のねじれが表面のボードを曲げることで仕上げのビニルクロスにシワを作ってしまうなどの問題も起こる場合があります。

家を建てる前の状態で背割れを入れておくことで木材の中心部を乾燥させる役割と共に、建築後に柱が変なところで割れることを避けるなどの役割があります。

背割れの入っていない柱もある

最近一般的に使用される柱には背割れが入っていることが多いですが背割れの入っていない柱もあります。人工乾燥機などを利用して、短時間でしっかりと乾燥させた材料も流通しています。築数百年といった住宅にも背割れがない可能性は高いです。

昔は山から木材を手作業で切り出した時代は木を伐採し、長い間山の中で放置して乾燥させていました。伐採したばかりの生の木は水分が多く、人が担いで山から下りるのは非常に困難であったことが理由です。
山で放置された木は長い年月をかけて乾燥し、乾燥した木を村まで運び、加工した家などに使われていました。背割れということは必要なかったのです。

柱は産地や育った環境によって強度が上がる

木造住宅の柱や梁などで使用される木々は木が育てられた気候や環境、山の状況に加えて、建物が建てられる時の使用のされ方も含めて、地震に対しての強度が強くも弱くもなります。

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寒い地方の木々の方が強度が強い?

日本国産の木材を木造住宅の柱などに利用しようとする場合、北は北海道から南は沖縄まで住宅に利用できる木々が植林されています。植物の生長と同じように木々も時間と共に成長し大きくなり、年輪を積み重ねながら木造住宅の材料に使用できるまで育てて出荷するということになります。

この時のポイントは寒い地域ほど木々の生長が遅く、暖かい地域ほど木々の生長が早いということです。同じ大きさの木に成長するまでに北海道では20年かかるところが、九州では15年で成長するということになります。

この時の木を輪切りにすると、北海道の木は20年分の年輪があり、九州の15年分の年輪しかありません。年輪が詰まっているほど組織が密になっていますので、一般的には地震などの強度に強いと言われています。

山の傾斜に合わせて木材をカット!

木造住宅で使用される木材は日本国産のものの場合は一般的に山に植林し育てた木を利用します。これらの木は平地で育てられるわけではなく、勾配のある山に植えられ育てられます。
勾配に植えられた木は勾配に直角に伸びるわけではなく、上へ上へと向かって育っていきます。この状態が木にとって一番自然な状態であるとも言えます。

育てられた木は職人さんの手やプレカット構造などで必要な形に加工され木造住宅の柱などに使用されますが、育った時と同じような向き(方角)、力のかかり具合が似ていた方が木の耐久力(強度)を最大限まで引き出せると考えられています。

実際には住宅の間取りと木材の断面(年輪)を確認し使用する材料を選別していく必要があります。多くの知識と経験、時間(手間)を必要とする作業になります。

プレカット工場などでは、入社したばかりの方が担当してしまうとたまに木材の上と下を間違えて製材してしまう場合もあります。木造住宅として完成したときには木の上部が常に下向きになってしまうということです。人の知識や経験、かけられる時間が家を目に見えないところで強くしていることがわかります。

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