家は大きければ大きい方がいい家、小さい家は貧乏で貧弱でみすぼらしい家と判断してしまう人は意外に多いです。世間体を気にして、あの家よりも大きくしたいと考える方もみえます。
実際には小さい家であっても豊かな暮らしができる「良い家」をつくることは可能なことです。
細かいところまで行き届いた間取りで思いがギュッとつまった小さな家は無駄がなく誰から見ても魅力的です。
理想の家を整理する
- 広くて明るいリビングがいい
- 使い勝手のいい広いキッチンが魅力
- なんでもできる子ども部屋がほしい
- 書斎のある家なんて格好いい
広くて何でもできる家は魅力的ですが、現実には予算に限りがあります。思い描きすぎた理想ができないとわかったとき、大きく落胆して落ち込んでしまわないように、本当に必要な部屋はどのような部屋なのか、整理しておきます。
整理をするポイントは今から老後の人生までじっくり人の動きをイメージすることです。イメージの中で大きすぎた部屋、使われなかった部屋や、あまり活用されなかった機器などは、家族にとっては不必要かもしれません。
小さな家を計画する上で大切なことは室名に捕らわれすぎないということです。ごく普通の家には玄関があり、廊下があり、リビング、ダイニング、キッチンとありますが、「廊下は本当に必要なのか?」と疑ってみることから始めます。
玄関の扉を開けて靴を脱ぎ、室内の扉を開けたらリビングでよいのではないか?階段は必ずしも廊下に接している必要はなく、リビングに階段を計画したらよいのではないか?と考えます。
すると、廊下に必要だった床面積がなくなり家がひとまわりコンパクトになります。そのように一つひとつ考えていきます。
客間・リビング・ダイニングを1つにまとめる
日本ではリビングとダイニングの他に客間としての和室を設ける場合が多いです。日常生活において知人が訪れた際はリビングに置かれたソファで話してしまったり、ダイニングテーブルでコーヒーを飲みながら盛り上がってしまったりと、和室はあまり活用されていません。
和室を小さくしたり、リビングの一角に小さく和室を計画して日常的に一体利用できるようにプランとしたり、和室自体を無くしてしまっても良いかもしれません。
祖父母が遊びに来たときのために和室を計画することも多いですが、1泊するような時は祖父母も含めて家族みんなで旅行へ行き、旅館やホテルに宿泊するという計画にしてしまう方法もあります。
収納スペースを1カ所にまとめる
各部屋に収納スペースがある部屋は便利ですが、床面積は大きくなってしまいます。収納扉(建具)が増えることで予算も必要になります。1坪、2坪程度の大きな収納室を計画することでコストを抑え、部屋に物があふれることを防ぎます。
子どもの部屋の場合は2室で1カ所の収納室をつくり、床面積を減らすという目的以外に、子ども同士が話し合い整理することで協調性も上がります。
収納場所を増やすという考えから、収納するものを選び物を増やさない暮らしを心がけることになります。
玄関を部屋としてではなく、リビングと一体にする
玄関はお客様、家族の出入り口ですが、格式にとらわれずフレンドリーに地域の人や友人と接する場合は、あまり必要としない空間かもしれません。
リビングの一角にシューズボックスを設けて玄関とすることで、リビングがみんなの談話の場になり、カフェ気分で気軽な家ができます。
小さい家の魅力
各家庭で大切にしたい場所、不要となる空間が違うため一概には言えませんが、上記以外にも家を小さくするポイントはいくつもあると思います。紙に書き出してみることも大切ですし、家族と話し合いながら、それぞれの意見の違いを確認することも大切です。
小さい家のポイントは、部屋にある用途の中で使われていない時間を、他の部屋といかに共有するして大きく暮らすということになります。小さな家はデメリットのように捕らわれがちですが、小さな家には家族が近くに感じられ、子どもがおもちゃを出していれば注意できる親の姿勢や、親が手を抜いていれば子どもはそれをみて成長する。
小さな家は家族の距離感やつながりがしっかりとした関係性が育まれていく。人間味のある家族関係が生まれる可能性を秘めた家の形かもしれません。