新築住宅を建てるときにトイレの中心となる腰掛便器の種類やグレードを選ぶことは多いですが、トイレの扉(戸)まで気にすることは少ないと思います。
本当はトイレの扉(戸)はどんな形状にするか、明かり窓は取り付けるか、鍵はどうするのか、車イスが中に入れる幅があるかなど、気にする必要があるところは多いですが、実際には工務店やハウスメーカーに任せてしまうところが多いです。
新築住宅を建てる前にトイレの扉(戸)を一度チェックしてみると、家の扱いやすさが少しだけ変わるかもしれません。
トイレの戸は「外」がキーワード
トイレの扉(戸)の基本的なキーワードは「外」です。トイレの扉は外開き、引戸でも建具は外側に取り付けることが一般的です。
トイレの扉(戸)を内開きにしない理由は、人がトイレ内で体調が悪くなり倒れたときに、救急隊が来て扉を開けたくても人が倒れていて開けられないという問題を無くすためです。引戸を内側に取り付けない理由も同様で、引戸のレール上に足がぶつかっていたり、物が落ちて開かない場合、外側からではどうすることもできません。
最初から扉(戸)に弱い部分が作られており、その部分を簡単にぶち破ることができるケース、トイレの扉(戸)上部にあたる欄間部分が開いていることで、上から簡単にトイレに人が入ることができるなど、対策が考慮されている場合は問題ありません。
トイレの中の人を救出するときに、どのような扉(戸)の形状であればよいか頭の中でイメージしておくことは大切です。
トイレの鍵選びのポイント
一般的なトイレでは、内側から鍵を掛けることができ、外側には鍵の開閉状態を表示するマーク(赤や青)が付くケースが多いです。ただ、トイレの中で人が倒れた時は鍵を壊す以外に助け出す方法がありません。
高齢の方が住まわれる住宅の場合は、内側からも外側からも簡単に指で錠がかけられるものを選びましょう。外側に付いた錠は日常的には使わないように生活をすれば、問題ありません。
地震時でわかる開き戸より引戸がいい理由
トイレは開き戸よりも引戸がよい理由は地震時にあります。トイレに入っている時に大地震が起きて、トイレ内に閉じ込められたというニュースや記事を見たことがある人も多いと思います。
大地震で家全体が歪んだことで、開き戸の枠が歪み、開き戸が開けられなくなる可能性があります。歪んだ開き戸には家全体の重みがかかっていることから、トイレ内部から人が押したぐらいではビクともしません。
引戸の場合も閉じ込められる可能性はありますが、開き戸に比べ密閉度が低く、引戸の戸車などが緩衝材となり、人が内部から押したり蹴ったりする衝撃で戸が外れる可能性が開き戸より高いです。また、歪んだ瞬間に建具が外れたり、上枠レールが壊れたりし、建具が先に壊れるケースも考えられます。