住宅に軒や庇は必要ないのか

築何十年という木造の住宅を見ると大きな屋根が特徴的で軒や庇が長いのが特徴的です。しかし、最近の建てられる住宅を見ると軒が全く出ていないもの、庇が全くないものも少なくありません。

昔の住宅には意味があって軒や庇が付いていたはずですが、現在の住宅は無くても問題ないということになります。

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軒や庇の必要性について、少し考えてみたいと思います。

軒や庇の役割とは?

軒は屋根がそのまま長く出たもので、昔から放送されている漫画などでは、軒下に洗濯物を干す映像も一般的です。庇は窓の上に付いているものです。

軒の役割

現在の住宅は外壁にサイディングを利用することが多いですが、昔の住宅は漆喰を採用することが一般的でした。漆喰は吸水性が高いことから雨に弱く、雨が土に当たって跳ね返った泥水が漆喰に当たるとコケが生えたり、カビたりする原因になっていました。軒を長く出す事で、漆喰に雨が当たることを防いでいます。

庇の役割

庇の役割も軒に近いです。現在の住宅はアルミサッシを利用することが多いですが、昔の住宅は木で作られた木製建具でした。木で作られた建具が雨に当たると、木が膨張し開け閉めがしにくくなります。その対策としても庇は必要でした。

扉や窓を開けたときに、開けた人が雨に濡れないようにする役割や室内に雨が吹き込んでこない役割もあります。

軒・庇の両方の役割

雨の日だけではなく、晴れの日も軒や庇は活躍します。強い太陽光が室内に入り込むと、床板や畳が痛む原因になります。昔の家は室内の壁も漆喰だったことから黄ばみも防いでいました。

夏の暑い太陽光を室内に入れないことで、少しでも快適に過ごす工夫も兼ねています。

生活スタイルの変化で住宅に軒や庇は必要なくなった

現在の住宅にも軒や庇が必要かと考えると、必要なくなったと言えるかもしれません。サイディングは吸水性は漆喰に比べるとかなり低く、直接雨が当たったとしても、日当たりの良い場所や風通しの良い場所であれば、すぐに乾きます。

窓に採用されるアルミサッシは雨が降っても問題なく、ガラスは紫外線カットガラスを採用することも多いことから、室内に降り注ぐ太陽光でフローリングやビニルクロスが傷むことを抑えています。

夫婦共働きが一般的となったことで日中は誰もいない家が増え、24時間ペットのためにエアコンを使用する家庭も珍しくありません。そのため、窓を開ける家庭も減っています。

工事の面でも、軒や庇を施工しないことで、材料費を抑え、施工期間も短くなることから、住宅の価格を抑えることもできます。

軒や庇を取り付ける理由よりも取り付けなくてもよい理由が現在の住宅にはたくさんあるのが現状です。

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