下地となる無垢材や合板からヤニが出る可能性があります。直接ビニルクロスを貼ったり、ペンキ、漆喰などを塗ってしまうと、仕上げまでヤニが浮き上がってきます。シーラー処理をしてヤニが浮き出てくることを防ぎましょう。
家づくりにおいて厄介者のヤニ
日本で家を造るにあたり「木」はとても重要な材料です。木造住宅はもちろんですが、鉄骨で作られた住宅であっても全てが鉄ではなく、ビニルクロスを貼る下地は石膏ボードや合板、その石膏ボードや合板を留めるのは胴縁という名前が付けられた木です。これは鉄筋コンクリート造も同じです。
「木」は大きな工場や加工場がなくても、大工さんがノコギリ1つで加工できる上に強度が高く、日本では昔から使われてきました。しかし、加工性がよく強度も強い「木」ですが、癖がないわけではありません。木はヤニを出します。
ヤニを出す木で有名なものは松であり、松ヤニという名称は誰もが聞いたことがあると思われます。ヤニは木を切ると切り口から出る透明度のある液体であり、触るとベタッとして、手に付いてしまうと石けんで洗っても取れません。もちろん、服に付いてしまったら最後です。
このヤニが住宅でも発生します。
ヤニが発生する箇所として、天井や壁などの下地に杉や桧などの無垢材を使用しているところが上げられます。古い住宅で何気なく天井を見てみると、天井仕上げ材が留めてある木下地が浮き出てきていたり、壁も同様に下地の跡が出てきていることがあります。
他にも合板の中に、ヤニの出やすい樹種や箇所を使用されてしまったロットが存在するケースもあり、必ずしも古い材料だけではなく、新しい材料でもヤニが出るケースもあります。
シーラー処理でヤニが浮き出てくることを防ぐ
ヤニが出てきていることに気づかず、ビニルクロスを上から貼ったり、ペンキで塗装をしたり、漆喰などを塗ってしまった場合には取り返しがつかないことになります。ビニルクロスではクロスの表面や境目が黄色く滲み、ペンキや漆喰などでは塗った翌日にはクッキリとシミのように黄ばんできます。
これらは、上からビニルクロスを貼り直したりペンキや漆喰を塗り直しても効果はなく、下からにじみ出てきます。また、タバコのヤニとは違い表面に付いたものではないため、洗い落とすことはできません。
抜本的な解決方法は、ホームセンターなどでも市販されているシーラーを使用して表面に膜を作り、表にヤニが上がってこないようにする必要があります。
ビニルクロスやペンキ、漆喰(下塗りも含む)などを剥がし、シーラーを使用方法通りに2度塗りします。しっかりと乾かした後に、ビニルクロスやペンキ、漆喰などの仕上げ材を貼ったり塗ったりします。ペンキや漆喰などでヤニが浮き出てしまった場合は、剥がさなくても直接シーラー処理をし、その上に塗り直すことも可能です。
シーラー処理は、金銭的にもお金がかかり、シーラーを乾燥させるまでに時間がかかり、表には出ず、ヤニが表に出ない時には無意味という工程になりますが、料理同様に建築も下地の処理は仕上げの完成度に大きな影響を及ぼすことから、非常に重要です。
忘れずにシーラーを塗りましょう。
※木材料でも集成材は基本的にはヤニはでません。
※プラスターボードはヤニを通しません。