耐震補強をしても倒壊する家もある

大きな地震が発生すると、テレビやメディアでは耐震補強をしていない古い住宅と耐震補強が施された新しい住宅とを比較することが多いです。酷いケースでは、倒壊した家に住んでいた方が片付けをしている中でわざわざ「耐震補強はされていなかったんですか?」、「隣の家は耐震補強をしてほぼ無傷ですよ」など、インタビューする映像も流れていました。

住宅に耐震補強を施せば、地震で家は倒壊しないと印象づけますが、実際には耐震補強を行っても倒壊する家は存在します。

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耐震補強をすれば家は倒壊することないと断言はできません。ただ、倒壊する可能性を下げることはできます。

耐震補強は家が倒壊する可能性を下げる

家が倒壊する理由は1つではありません。地震の揺れはすべて同じ訳ではなく、ゆっくり大きく横揺れをする地震や小刻みに揺れる地震、東西南北のどの方角に沿って揺れるのかによっても異なります。他にも下から突き上げるような地震などが知られていると思います。

地震の動き以外にも家の階数、形状、耐震補強ヶ所、開口部の大きさや位置など、数多くの理由から倒壊する家と倒壊しない家が分かれてきます。

耐震補強された家でであっても完璧ではなく、壊れるときには壊れます。

耐震補強された家の割合は82%

国土交通省が2013年に全国の住宅耐震化率を調査した結果、82%であったと発表しています。2008年に行った調査では79%であり、その差は3%です。2011年には東日本大震災が発生し、地震に対する意識は向上したものの、実際にお金を払って家を耐震化する人は限られているのが現状です。

家が倒壊しない可能性を1%でも上げる

家を耐震補強すれば家が倒壊しない訳ではありませんが、耐震補強をすることで家が倒壊する確率を下げることはできます。木造住宅であれば、壁の内部に筋交や構造用面材を設ける工事が一般的ですが、大がかりな改修工事が必要になることから嫌煙されがちです。また、現在、窓があるところを埋める必要もでてくるかもしれません。

屋外から柱に直接金物を打ち込みブレースを取り付ける工法やフレームを取り付ける工法、ポールと立てる工法など、住みながらにして行える耐震補強は数多く存在します。

古い住宅であれば、屋根の雨漏りチェックを行う際に瓦からガルバリウム鋼板の屋根に取り替えるだけで、家にかかる重量を減らし、倒壊の危険性を少しでも下げることができます。

耐震補強をしても家は倒壊するかもしれません。しかし、耐震補強をするだけで家が倒壊する時間を1秒でも生み出せる可能性があることも事実です。1秒あったことで家に潰されることなく逃げられる命があるかもしれません。

1秒のために数百万円というお金をかけることに疑問を思われる方もみえるかもしれませんが、大切な命を守るかもしれないのです。

長期優良住宅でも倒壊する危険性がある

100年住宅と言われる長期優良住宅であっても地震で倒壊する可能性はあります。その状態は国の施設である「E-ディフェンス」で確認済みであり、全世界に公開されています。

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長期優良住宅でも倒壊する危険性がある

日本には全世界でも希に見る震動破壊実験を行う施設「E-ディフェンス」があります。E-ディフェンスでは実際に起きた地震の揺れ方やこれから起こる危険性のある地震の揺れ方などを想定して、建物に地震波をあたえる実験をしています。その結果は検証した上で国の法改正などに役立っています。

E-ディフェンスでは木造住宅の耐震実験も行われています。

3階建て木造住宅で1階にカーポートがある建物の倒壊実験をしています。1階にカーポートがあることから耐震が取りにくく、倒壊危険度の高い設計です。

これは従来の耐震基準の建物と長期優良住宅の建物の耐震実験です。



この映像は建築業界では有名です。検査の結果は長期優良住宅の建物が壊れ、従来の耐震基準の建物は崩れないというものでした。

基準をクリアしていれば「100%安全」ではない

この映像の解釈の仕方はそれぞれですが管理人の考え方としては、2階、3階の耐震強度が強すぎるあまり、1階部分の基礎と土台、柱と梁の仕口に大きな力がかかってしまったことが原因であると思います。逆に、従来の建物は全体がグニャグニャと動いたことで揺れを吸収したことにより、倒壊はしなかったと思っています。

長期優良住宅の方があらゆるシーンにおいて安全度が高いことは事実です。しかし、建築基準法を守り、さらに厳しい100年住宅とも言われている長期優良住宅の基準を守っていても必ず安全という訳ではなく、住宅の大きさ、形状、構造のバランス、地面の揺れ方など、あらゆる要因が重なることで結果は変わります。防災の準備はどんな家でも必要です。

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