消費税増税を前に駆け込み新築するデメリット

既存の消費税5%から8%、10%が目前に迫る中で、建築業界では家の新築ラッシュになっています。住宅は工業製品ではないため、工場ラインの生産率を上げるだけでは建設ラッシュに対応することができません。あくまでも1軒1軒がカスタマイズされたオリジナルなものだからです。

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消費税増税でいくら税金が値上がるか・・・

日本国内で行われる消費税の増税は2段階に分けて引き上げられることが決まっています。

2014年4月より5%→8%
2019年10月より(当初は2015年10月の予定)8%→10%

と変更されます。

家を新築する時に必要な費用が2000万円であったとします。消費税が、

5%であれば2100万円
8%であれば2160万円
10%であれば2200万円

という計算になります。5%から10%へと変更された場合は100万円も違いますから大きな違いになります。

100万円もあれば、キッチンやトイレなどのグレードアップやフローリングの材質変更、ガレージの新築、外構の木々を植えるなど、たくさんのコトができます。そのため、消費税増税前に家を建てたいという方が殺到していますし、ハウスメーカーなどはチャンスとばかりに宣伝をして顧客を掴むために営業を行っています。

新築ラッシュ時に家を建てるデメリットがある

エコポイントで話題になった家電であるテレビの需要先食い、エコカー減税でも起こった新車需要の先食い、これに続いて住宅業界でも消費税増税に伴う需要の先食いが現在起こっています。

経営的には需要が減ることがわかっているため、今しかないとばかりに営業していますが、実際に家を建てるのは地方にある下請けの工務店であり、かなりの量の受注をしているのが現状です。
もちろん、下請けという立場から仕事を断れば次回から仕事が回ってこなくなりますので、受けるしかありません。自然環境が変化する中で定められた期日までに家を建築するという目も回る仕事量をこなしています。

家は工業製品ではなく、職人の手によって1つ1つ作りあげられるものです。

工場のラインを増やすだけで生産量は増えません。そのため、経済の流れが速い現在において「すぐにほしい」ということに対応できにくい業界でもあります。

実際に降りかかるデメリット

実際に新築ラッシュ時に建てる家に起こるデメリットは家の質の低下です。外観はサイディングボード、インテリアはビニルクロスを貼ってしまうことも多いため、目に見える所は綺麗に仕上がっています。

そのようなところではなく、フローリング材の張り方が雑で目地がずれていたり、窓廻りの防水がしっかりと留めていないため雨水が染みてきていたり、柱を留めるボルトが1本打てていないなどの細かい所です。新築時には問題ないところであっても数年後、数十年後問題になったりします。

このような問題は瑕疵であり、工事をした側に責任・問題があります。

今までのような仕事量であればしっかりとできた仕事であっても、平常時以上の仕事が1日や1ヶ月ではなく、年単位でオーバーワークが起こっている場合、このようなことが起こる確率は確実に高くなります。同じ金額を支払って家を建てる場合、できる限りこのような目には合いたくありません。

家を建てるのは職人です。昨日雇ったアルバイトの子が家をつくることができるわけではありません。高校から専門の学校へ行き、師匠について学び、職人に成長するまでに10年は必要な仕事です。

すぐに職人がほしいと思ってもそのように職人は育っていませんし、また消費税増税前の今だけ職人が足りない状態なのは工務店もわかっているため、今後余ってしまうのが目に見えている場合、新たに職人を育てるよりも今の職人で作ってしまおうと考えています。

ある一定のデメリット(リスク)を頭に入れた上で消費税増税前に安く家を建てるのか、高価な家ができない消費税増税後に丁寧に家をつくるのか。選択が求められています。

需要が増えることで金額が上がっている

上記のようなリスクに加えて、お金のリスクもあります。

現在「消費税が上がる前に家を建てたい」という需要が増加していることから、需要と供給のバランスが今までとは変化してきているのも事実です。

多くの需要に対して供給するハウスメーカーや工務店側は需要量にあわせて工事金額を上げてきています。数千万円の家に対して、数十万円、数万円といった金額であれば建て主さんはわかりませんし、多少高くても消費税が上がる前に建てたいという希望の方が大きくなっています。

もちろん、家をつくるための原材料の多くを輸入していることから「円安」の影響も受けていますので、工事金額が全体的に上がっていることも要因の1つになっています。

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