建て前で鳶さん発見!

大工さんと鳶さんには仕事内容に根本的な違いがあります。建て前の時に現場で人間観察をしてみましょう。ちょっとした違いが面白いですよ。

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建て前で鳶さん発見!

木造住宅の家づくりにおいて工事を行うのは大工さんです。基本的には棟梁(大工)のみの場合や棟梁に加えて大工さんが数名で家を作る場合が多いです。しかし、建て前の時は違います。建て前は1日で終わらすために一気に工事をします。

この場合は棟梁のみでは人手が足りず日が暮れてしまうため、応援の大工さんも含めて数人で行います。この中にたまに鳶さん(鳶職)も見える場合があります。

大工さんと鳶さんの違い

建て前の時の大工さんと鳶さんの仕事には違いがあります。

大工さんは道具を利用して各部材(柱や梁など)の組み立てや部材の調整、ボルト締めなどを中心に行っていきます。建物全体を見渡して様々な道具や工具を使って家をつくります。

鳶さんは高いところでの仕事を専門とする職人です。クレーンで持ち上げられた部材を受け取りどんどん組み立てていきます。鳶さんは高いところで木槌を振るいます。
鳶さんにはそれぞれ高所の足場を組み立てる足場鳶や鉄骨造の建物を専門とする鉄骨鳶、また工事の多種多様な職人さん現場から落ちないようにネットを張る職人さんもみえます。どちらにしても危険な職業ですね。

大工さんと鳶さんは簡単に見分けることができます。大工さんは一般的には裾が綴じた細身のズボンを履いています。鳶さんはニッカポッカとも言いますが、裾の広がったズボンを履いています。これは膝を曲げたときに動きやすかったり、高所で風を感じたりとメリットがたくさんあります。ファッションで履いているわけではありません。
大工さんも鳶さんも基本的には地下足袋です。

建て前の時に家が建っていくのを見ていて、疲れてきたら人間観察をしてみてください。


住宅の現場は意外と大雑把

工場で作られたたくさんの電気機器に囲まれた生活をしていると1mmのズレも失敗品と思ってしまいます。しかし住宅の場合は違います。

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住宅は地球の上でつくられる

「住宅の現場は意外と大雑把」と書いてしまうと語弊があるかもしれません。あくまでも雑に作っているという意味ではありません。

ハウスメーカーや工務店はお客さんの職業を気にする場合があります。自動車工場で車をつくってみえる方や電子機器・電気機器類の工場や設計に携われている方など、その中でも比較的細かい男の人をマークしています。

理由は工事中や完成した住宅の精度を気にされるからです。

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「ここが1mmずれているんじゃないか?」、「このクロスの角の部分がキレイじゃない」、「この小さな傷はなに?」などの繊細な指摘をされるので、いつも以上に細かいところに注意を払ってつくる必要があるということです。

住宅は雨風がしのげる建物の中でもなく、繊細な動きをする機械があるわけでもなく、まっすぐな机の上で作業をするわけではありません。
住宅というのは地球の上に建てます。高さを測るにも面積を測るにも、測った翌日に敷地に雨が降れば変わってしまいます。もちろん、風が吹けば砂は飛んでいきますし、人が歩けば土は圧縮されて高さは変わります。

その状態から基礎をコンクリートでつくり、建て前をして内外装工事を行っていきます。

基礎をつくるときには誤差は1センチ程度はあります。しかし、建て前の時にはミリ単位まで小さくなり、内外装を工事する中でさらに精度を上げていきます。

ある意味誤魔化しているとも言えますが、住宅はそのような感覚でつくられていくと思っていただけるとありがたいと思います。

精度よりもしっかりつくることが最善

工場の中でつくられる工業商品にくらべて明らかに大きな住宅はほとんどが人の手でつくられます。

建物の細かさである精度も重要ですが、大工さんや職人さんは「雨漏れがしないように」、「後からメンテナンスしやすいように」、「倒れてこないように」など住宅の本質である住みやすさなども、その都度アタマを使いながらつくっています。

精度だけではない、別の価値も見いだしてもらえるとありがたいと思います。

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